2024/01/29
こんにちは、心療内科医のゆうです。今回は家族力動(family dynamics)についてお話したいと思います。家族力動とは、家族全体を1つの治療単位と捉え、家族の機能や問題点に焦点を当てるアプローチです。家族は血縁の有無に関わらず、様々な感情が生まれ、協力や対立が生じる集団でもあります。その力動を理解し、治療に活かすことが目的です。
例えば、両親、子供の3人家族を考えてみましょう。子供の受験に両親も一緒になって頑張る、という場面では家族力動は一つの目標に家族全員が向かっているため、力動は一方向になります。一方で子供の進路や生き方に対して、子供の意に反して両親が「こうあるべきだ」と押し付ける力が子供に向かう形となります。もし子供に反発する力があるならば、両親の力に反発する形となりますし(反抗期)、昔から子供の反発を抑えつけるように育ててきたならば、子供には外に向けて反発する力がないので、内面に反発する力が働くようになります。これが心理的な影響を与え、摂食障害や持続的な抑うつ状態につながることがあります。
では家族力動を考えるとき、「親が悪い」のでしょうか?実は親が子供に接する態度は親自身が上の世代から引き継いだ結果である可能性があります。そのため、親を責めるだけでは問題解決には繋がらないことがあります。そのため、家族力動を考えるとき、私は患者さんやご両親に「お互いの思いがズレてしまっているので、それを合わせることが目的」と伝えています。そのような姿勢で親も子供もすり合わせていくことが一番の手がかりとなります。
もし家族の問題で困っている場合は一度クリニックにいらっしゃってください。