2024/06/10
こんにちは、心療内科医のゆうです。
皆様には日頃から診察の際にメモをお持ちいただき、診察や待ち時間の短縮につながっています。ご協力いただき、誠にありがとうございます。
今日は不安症についてお話したいと思います。不安症とは以前にも「息がしにくい、パニックになる」というブログで説明したパニック症や対人恐怖などの症状を伴う社交不安症、漠然とした不安感を伴う全般性不安症を総称したものです。
主にある特定の場面(トンネルなどの狭い場所、レジに並ぶなどの動けないところ、電車内など)で生じる不安感はパニック症、対人関係で生じる不安感(目を合わせられない、人前で文字を書くと手が震えるなど)であれば社交不安症、特にきっかけもなく生じる不安であれば全般性不安症という診断になります。
ただこれら不安症は薬物療法がとても有効であり、薬物療法で不安感を軽減しながら、心理的に不安になる状況や場面を乗り越えていく(例えば暴露療法や認知行動療法など)を行うことが治療となります。
ただ注意が必要なのは常にこういった不安感がある患者さんではなく、たまに上記で述べたような不安感が生じる、若い時は不安になることがなかったが、高齢になってから不安感が生じるようになった場合です。
基本的には若年から発症、もしくはそのような傾向があることが前提であり、それ以外に生じている不安感については他の疾患を疑う必要があります。 例えば月経後に生じやすい不安感であれば、鉄欠乏に伴って不安感が生じている可能性がありますし、高齢者でバランスが取れず、「不安に感じる」場合はパーキンソン病なども可能性も考えられます。
そのため、診察時に
①どのような場面や状況で生じる不安なのか?
②元々の性格傾向(特に心配性なのかどうか)
③血縁の家族に同様の症状の方がいるのか、といった情報が確定診断に有効となります。
他の疾患でもそうですが、時々これら不安症があるために可能性を狭められている患者さんがいらっしゃいます。乗り物に乗れないから遠くに行けない、対人緊張があって、なかなか就職できないなどです。しかし不安症は薬が非常に効果的ですので、薬を使ってでも行動範囲を広げてもらうようにすることが人生のQuality Of Lifeにも繋がりますし、治療的な意味合いを持つと考えています。
上記症状がある場合は一度クリニックにいらっしゃって、ご相談ください。症状の改善方法を一緒に考えていきましょう。