2024/06/24
こんにちは、心療内科医のゆうです。
今回は不眠症についてお話したいと思います。不眠症は読んで字のごとく「眠れない」ことですが、その原因は多岐にわたり、精神疾患の発症にも関わるため、その根本的な原因を探り、適切な治療を行うことが非常に重要です。 例えば、不眠症で来院される患者さんで多く見かけるのがアルコール関連の不眠症です。アルコールは入眠を助ける成分を含んでいますが、睡眠の質を悪化させる要因にもなります(例えば、夜間にトイレに起きてしまい、再び眠れなくなるなど)。そのため、WHOをはじめとするさまざまな学会では、まず禁酒を推奨しています。 私の治療の印象でもアルコール関連の不眠症は禁酒と睡眠習慣を戻すまでの間の薬で3か月で9割以上の患者さんが症状改善しています。
また不眠症の1つに睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome; SAS )があります。最近TVのCMで頻繁に取り上げているため、ご存じの方も多いかと思いますが、SASは寝ている間に舌の根本(舌根)や気道が狭まることにより、寝ている間に窒息状態になり、脳をはじめ体中が低酸素になる、という病態です。そのため、10数年かけて脳や体中にダメージを与えることになります。また睡眠中に窒息状態となっているため、体が休まらず、日中の眠気などが生じることになります。実は日本人は骨格の関係上、SASになりやすい傾向があり、太っていなくても小顔の人でもなりやすい傾向があります。主な症状はいびき(特に無呼吸後の突然大きくなるいびき)が必発ですが、一人暮らしの人などはいびきを指摘されることがないため、症状が分かりにくいかもしれません。もし①起床後から眠気がある ②20代の頃こなせていた仕事や作業がこなせない、集中力がない ③うつと診断されて治療をしているが、10年以上経っても改善しない場合はSASを一度検査してみるのも一つかもしれません。
他には下肢静止不能症候群(Restless Legs Syndrome:RLS )があります。下肢の違和感(モゾモゾする、熱い感じなど)によって、なかなか眠れない疾患です。この疾患の原因は鉄不足や脳波異常が原因とされていますが、薬物療法がとても効果的です。
睡眠は人生の1/3を占める重要な行為です。睡眠の質を上げることは思考力や体調全般の改善につながります。当院ではSAS検査も行っておりますので、上記症状がある場合は一度クリニックにいらっしゃって、ご相談ください。